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コラム
甲府サービスステーションで活躍の三針ユニットセットですが、意外な落とし穴がありました
三針ユニットってなに?
🔹甲府サービスステーションでは、お客様から校正依頼を頂いたねじ類の測定を一手に引き受けています。その測定に欠かせない物が三針ユニットです。
🔹三針ユニットとは、マイクロメータのスピンドル・アンビルの両測定面に取り付けてねじの有効径を測定する標準器で、三針法と言うJIS(日本産業規格)で定められた測定方法に使用しています。
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🔹ここで測定する有効径とは、ねじ山の頂点と谷間の間に位置する、仮想的な円筒の直径を指します。具体的には、ねじ山の幅がねじ溝の幅に等しくなるような円筒の直径を指します。
🔹測定しようとするねじのピッチ又は山数(1インチ=25.4 mmにつき)に応じて、JIS B 0271に規定するねじ測定用三針を選び,図に示すように各々ねじ溝にあてがい,針の外側距離Mを測定します。
有効径は実測した外径距離Mより、下記の表に示す計算式から求められます。
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三針ユニットが活躍する訳は
🔹三針ユニットは二針ユニットと一針ユニットで構成され、マイクロメータに取り付けることで、3本の針が常に正しい位置に保持されるので高精度で安定した測定ができます。
🔹一方で、三針ユニットではなく、1本ずつ3本の針がばらになっているタイプでは、それぞれのねじ溝に手で3本の針を入れていきます。この方法は職人技に近いものがあり、慣れていない作業員は測定に時間が掛かってしまいます。


とても便利な三針ユニットでも弱点がありました
🔹いつもより3倍大きな外径のねじを測定した時のことです。いつもでしたら外径が25mmぐらいまでの製品が多く、三針ユニットが活躍しています。
しかし、外径76mmのねじプラグゲージに対して、三針ユニットを用いて有効径を測定すると、上限値に対して+3㎛大きく超えてしまう結果となりました。
🔹校正員を代えて測定しても同じような結果となりましたので、不思議に思い、三針ユニットのメーカーのカタログを確認すると、
「注:外径がφ50mmを超えるねじには三針ユニットが干渉するので、ご使用できません」
と記載がありました。
🔹実際に検証してみたところ、三針ユニットの針が取り付けられているフレームとねじ山が干渉していることがわかりました。
そこで検証のため、1本ずつ3本の針がばらになっているタイプで測定したところ、上限値を超えることはなく精度内に入ることを確認することが出来ました。
🔹三針ユニットは、メーカーの注意書きにある通り、万能ではないことを念頭に置いて、当たり前に慣れてしまうと問題に気づきにくいことを今回の一件で学びました。


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