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2025.04.17サービス / ソリューション

出荷検査だけでは防ぎきれない不具合:事例紹介(三現主義の重要性)

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適格性評価(クオリフィケーション)

出荷検査の限界

🔹新規に導入する製造設備/装置の工場出荷検査(製造ベンダ工場で行う検査)は、その設備/装置で製造する製品の品質を保証するための重要なステップです。

🔹そのため、一般的に製造設備の出荷前に検査が行われています。

🔹大きな製造設備は設備の一部を分解して輸送するため、現地(使用場所)で再度組み立てを行います。また配線工事・配管工事の都合で部品を脱着する場合もあります。当然ですがこの際、出荷前の状態(正しい状態)になるように組付けます。

🔹出荷前の検査で合格したものを元通りに組み立てるので、当然合格する“はず”です。従って現地での検査は不要な気もしますが、問題が見逃される可能性があります。

🔹そのため、医薬品など製造プロセスから製品品質を作りこむ必要があるものや、複雑な機能を持つシステム等は、現地での検査も行なわれています。(当社では主に製薬業界向けに設備の適格性評価として出荷検査(FAT)/現地での検証(オンサイトIQ/OQ)の支援を行っています)

🔹今回は、記録計を用いたシステムの現地納入時に発生した事象から、三現主義(現場、現物、現実)の重要性についてご紹介します。

現地での問題発覚

🔹状況は次の通りでした。

 1.出荷前に記録計の設定と検査を行い、合格したので出荷した。


 2.現場での工事の都合(記録計に配線)により、一部のモジュールを外した。

   モジュールは用途に応じた種類があるので、電気図面でモジュールの型式を確認しながら元に戻した。


 3.現地検査をしたところ、出荷検査時から記録計のモジュールの取付け位置が変わっていた。


🔹実はモジュール内部には測定に必要なパラメータが設定されており、同じ見た目や型式でも“違うモノ”だったのです。このままでは正常に測定できない状態となっていました。
(工場で設備を製造/検査した人が現地工事を行わない場合や、工事を別会社に依頼した場合は、“当然注意すべきこと”の認識が違うことも背景にあると思います)

🔹この事態は、出荷検査だけでは不具合を防ぎきれないことを示しています。

三現主義の重要性

🔹ここで重要なのが、三現主義(現場、現物、現実)です。

🔹例えば、『現場』での確認では、設備が設置される環境や条件を考慮し、適切な対策を講じることができます。

🔹『現物』を手に取ることで、設備の細部を直接確認することができ、問題があればすぐに対応できます。

🔹『現実』の状況を把握することで、設備が実際にどのように動作するかの確証が得られます。

🔹今回は製造設備の『現物』を『現地』で実際に確認し、『現実』の状況を把握したことで、不具合を見つけることができました。

🔹皆さんの現場では『三現主義』をどのように実現されていますでしょうか。

🔹現地での検査内容については、設備の出荷以降に影響を受ける可能性やリスクを評価して、検査する項目を設定することが重要です。今回の事例でいえば、配線工事時に記録計のモジュールが取り外される可能性があるため、現地でもモジュールの取り付け位置を確認する手順があり、不具合を見逃さずに済みました。

🔹出荷検査は重要ですが万能ではありません。私は今回の事象を経験して、特に重要な設備などでは現場での確認と試験を通じた信頼性の確保が欠かせないことを、改めて認識しました。

 
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