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COLUMN
コラム
新任の計測器管理担当には機器の仕様確認も意外とハードルが高い・・・
計器の精度はどちらが良いの?? 見方がわからない。。。
🔹5月になり、新しく計測器管理担当になられた方もいると思います。
新しく計器を更新しようと色々とカタログを見比べてみた時に次のような仕様が書かれていました。
・Aの計器の精度 : ±(0.1%F.S.+1dig)
・Bの計器の精度 : ±(0.2%rdg+1dig)
🔹少し記号の差はあるけれど、数字の小さいAの方が何となく良さそうな気がします。
実は、数字の見比べだけでは、判断つかないのです。そこで今回は精度の確認の仕方を説明します。
まずは、それぞれの記号の意味を説明します
F.S.とは
「full scale」の略で、「全測定範囲」を示します。
「F.S.」の他に「FS」「f・s」「of fs」「span」「of span」などの表記もあります。
例えば「0.1%F.S.」と表記されていたら、計測機器が保有している精度は「全測定範囲(フルスケール)×0.1%」の意味となります。
仮に全測定範囲が1000 ℃でしたら、1000 ℃×0.1%=1 ℃となります。
rdgとは
「reading」の略で、「読取り値(読み値、表示値)」を示します。
「rdg」の他に「rdg.」「R.D.」「RD」「of rdg」「RS(リードスケール)」「of rate」などの表記もあります。
例えば「0.2%rdg」と表記されていたら、計測機器が保有している精度は「読取り値×0.2%」 の意味となります。
仮に読取り値が1000 ℃でしたら、1000 ℃×0.2%=2 ℃となります。
digとは
「digit」の略で、デジタル値の最小目盛(分解能・最小桁)を示します。
「dig」の他に「digit」「(複数形として)digits」「ディジット」などの表記もあります。
例えば「1dig」と表記されており、仮に最小桁が0.1 ℃でしたら、0.1 ℃×1(dig)=0.1 ℃となります。
具体的に計算して比べてみると
🔹あるデジタル計器の全測定範囲は0~1000 ℃。最小目盛は0.1 ℃とします。
🔹rdgを計算するには「読取り値」が必要なため仮に100 ℃の時で比較してみます。
Aの計器の精度 : ±(0.1%F.S.+1dig)
= ±(1000 ℃×0.1%+0.1℃×1dig)
= ±(1 ℃+0.1℃)
= ± 1.1 ℃
Bの計器の精度 : ±(0.2%rdg+1dig)
= ±(100 ℃×0.2%+0.1℃×1dig)
= ±(0.2 ℃+0.1℃)
= ± 0.3 ℃
🔹この事例では、Bの方が計算結果として精度が良い(数値が小さい)となり、数字だけで比べた印象だった「何となくAの方が…」とは話が変わってきました。
🔹計算のために「読取り値」を100 ℃にしましたが、0~1000 ℃の範囲をグラフの形で算出してみます。
🔹500 ℃までは、Bの計器の方が良さそうですが、500 ℃を境にAの計器の方が良くなっています。
🔹今回の事例でいうと、
500 ℃より低い温度で使用するなら、Bの計器を選んだ方が良い。
500 ℃より高い温度で使用するなら、Aの計器を選んだ方が良いといえます。
精度表記から分かったこと
🔹精度表記にある数値の大小で良さは判断できず、精度の表し方(F.S.とrdg)によって、実質的(絶対値)な値が異なっています。
🔹そのため、少し大変ですが実際に計算をして見比べる事が大事です。
🔹当社では、新しく計測機器の担当になられた方を応援しています。疑問があっても周りに聞く人が居なくてお困りでしたら、当社のメンバに気軽に声をかけて頂ければと思います。
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